特製の箱膳を作ってみました。これには我が家ならではの事情があるのです。
目次
・お膳の風情を「妻籠」で開眼
・お膳生活は甘くなかった‥‥
・精神安定のためお膳再考
・本宅帰還を考慮しサイズ設定
・木工用ボンドはローション?
・材料の使用量は大作並み
・技術の未熟さは代用パテで補う
お膳の風情を「妻籠」で開眼
「お膳」と言われても、ピンとくる方は少ないと思います。
高級料亭・高級旅館でならともかく、一般人にはもはや時代劇の中でしか見る事が無くなってしまいました。
我が家は夫婦そろって池波正太郎先生ファンなのでお馴染みでした。「剣客商売」「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」等の映像化作品を見てても、お膳による食事シーンがあり、その風情に憧れていたのです。
信州・長野「妻籠宿」へ行った事があります。ここは旧中山道の宿場町で、江戸風情を残す町並みとして、地域一体で景観保存に取り組み、電線を地下に埋めて電柱を無くし、自動販売機すらも置かないとした徹底ぶりで、観光名所として成功させた所です。
ここに夫婦で宿泊しました。古い木材とカビと土壁の匂いが交じり合う、独特なたたずまいの日本家屋、雨天だったので番傘で観光‥‥中でも印象に残っているのが、格子窓・畳間の部屋に運ばれてきた、地元食材を使う料理を乗せたお膳での夕食。これはもう江戸風情そのものでしたね。
お膳生活は甘くなかった‥‥
そんな体験もあって、お膳には関心を持っていたのです。これがあればどんな食事も江戸気分で味わえます。日常におけるささやかな贅沢として、いずれはお膳を我が家に迎えたいと考えました。
骨董店を尋ね回り、ついにお膳を手に入れる事が叶いました。もちろん江戸時代のものではありません。もっと後、昭和初期の大衆向けに大量生産された安価なものだと思います、二人分の二膳でもそんなに高く無かったですから。しばらくはそれで江戸風情を楽しんでいました。
そんな思い入れたっぷりのお膳でしたが、やっぱり安価なだけに作りもしっかりしていなかったらしく、接着面が剥がれてバラバラになってしまったのです。買い直そうかとも考えたのですがその直後、子供が生まれたのもあり現実に負け、悠長な江戸風情・お膳生活とお別れしてしまいました。
我が生涯のお膳生活終わったかと思いきや、この度再びお膳熱が高まってきたのです、いや必要に迫られてなんですが‥‥
精神安定のためお膳再考
二重生活のうちの佐賀実家での生活‥‥何度も書いておりますが、介護は理不尽の連続でして、時には一人で何の気兼ねもせず、しみじみゆっくり飲食したくなるものなのです。そこで週3日の飲酒する日だけは独り食事を許してもらい、実行しています。
酒飲みの大半がそうではないでしょうか?単品おかずでの飲食より、複数の料理が並んでいた方が酒を美味しく飲めるってもんです。そこでお盆に料理を乗せ、私が普段過ごしている二階へ運びますが、ウチにある丸盆だと複数回に分けて運ばなければならない、一回で運べるような大きな盆があればと思ったのですね。
さらに盆より箱膳‥‥その箱部分に酒類を詰め込め、しかもそれが保冷できたらどんなに便利か、という発想から考えたのが「保冷箱膳」なのでした。
本宅帰還を考慮しサイズ設定
構造はいたって簡単。以前作った保冷米櫃(「米櫃付きレンジ台は完成できるか?」参照)と似たものです。保冷米櫃と違うところは、スタイロフォームと断熱シートの二重構造だったのを、長時間の保冷を想定していないため、発砲スチロールのみを板で挟んだ事でしょうか。
本来の箱膳は、盆部分を持ち上げ、箱部分に食器を収納するのですが、今回作るのは箱部分が引き出しになっていて、横から収納物を出し入れできる構造にしています。酒のおかわりのため瓶や缶を取り出す都度、料理が乗った盆をいちいち持ち上げるのは面倒ですから。
まずは5.5mm厚のベニヤ板で引き出しの内部分を作ります。大きさは、いずれ本宅に戻って使う事も想定、本宅にある320×170mmの保冷剤が収納でき、さらに缶ビールのロング缶を立てて収納できる高さとします。
これを収納する発泡スチロール入り外枠を作ります。ちなみにこの発泡スチロール、農家を営んでいる従兄から、お中元・お歳暮の際に送られてくるミニトマトが詰められた発泡スチロール製の箱を再利用。ストックしておいた3箱分使いました。
木工用ボンドはローション?
引き出し前板にかかりました。まず裏と表にベニヤを貼っていきます。木工ボンドを塗り、べニヤを乗せ、重しで圧着させたのですが、数時間後出来上がりを見てビックリ!木工用ボンドがローションの役割をし、固まるまでに微振動でベニヤをヌルりと動かしてしまい、そのまま接着されてしまってたのです。
修正に多大な時間を要したのは言うまでもありません。裏表両面いっぺんに貼りつけてなくて良かった‥‥もしそうしていたら修正はこんなものでは済まなかったでしょう。時間はかかっても片面ずつ確実にやり遂げていくのが最良ですね。
修正後、スチロールの余り部分を切り落とし、発泡スチロール断面部分にもベニヤ板を貼り込んでいきます。
前面部分の失敗の後、天板部分は接着に至るまでにズレていないか、逐一経過を見守りました。
天板は縁を2辺ずつ、二回に分けて貼り付けていきました。
材料の使用量は大作並み
発泡スチロールを包み込むのは2.3mm厚のベニヤ板ですが、思いのほか使用量(使用面積?)が多く、1820×910mmサイズをほぼ全部使い切ってしまいました。また貼り付けるための木工ボンドは500gがほぼ空に。
こんなに一気に材料を使い切ったのは、相当な大物を作った時以来…材料使用量だけは大作並みになってしまいましたよ。
技術の未熟さは代用パテで補う
発泡スチロールを包み込んでいく際、技術の未熟さ故、いろんなところで隙間が空いてしまいました。木工用パテの代用品で、石紛粘土に木工用ボンドを練り合わせたもので埋めていきます。
私は100均「セリア」の手芸用石紛粘土とアイカ社の木工用ボンドを愛用していますが、これがなかなか優秀でして、精密加工を要する造形にも対応できるきめ細やかさをもち、大変重宝しております。
乾燥後はかなり硬く、カンナで削ってしまえる状態になるので、仕上げ加工がかなりラクでした。カンナをこんな使い方するなんて!木工のプロフェッショナルに知られたら、お叱りを受けるのかもしれません‥‥
次回はこれらを組み、内部加工し、色塗りして仕上げるところまでおこないます。
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