「チャンポン」の器にこだわってしまうと、いわくつきの陶器製で食べるのが格別なのです。
目次
・「チャンポン」より「ちゃんぽん」にこだわる
・関東のちゃんぽんに誤解が‥‥
・個人店のちゃんぽんが幅を利かす
・佐賀独自の老舗店ちゃんぽん
・格安でちゃんぽんを食べる方法
・手作りのこだわりは二か所
・いわくつき器のちゃんぽんは格別
「チャンポン」より「ちゃんぽん」にこだわる
ちゃんぽんの本場・隣県長崎に負けず劣らず、佐賀でも盛んに食べられています。
個人的ではありますが「チャンポン」と書くと、全国区でよそ行きなニュアンスが漂いますので、ここからはよりローカルっぽく親しみこめて「ちゃんぽん」と明記させてもらいますね。
街中のラーメン店のメニューには、ラーメンと連れの様にちゃんぽんが登場しますし、食堂のメニューでも、必ずと言っていいほどちゃんぽんがあります。関東圏では比べ物にならなくらい、九州ではちゃんぽんはポピュラーな食べ物なのです。
関東のちゃんぽんに誤解が‥‥
その昔、関東に来たばかりの頃、中華料理屋のメニューにちゃんぽんを見つけ喜んで注文したところ、九州のそれとは似ても似つかない、炒めた肉野菜を醤油ラーメンの上に乗せた「広東麺」のごときものを出され、がっかりした記憶が。
白いスープなだけで風味は別物の豚骨ラーメンと同じく、ちゃんぽんも九州から遠く離れてしまえば、誤って解釈されがちの食べ物でした。
個人店のちゃんぽんが幅を利かす
長崎県人は、某大手チャンポンチェーン店のが一番美味しい、と認めてしまった感があるのですが、佐賀では、まだまだ個人店のちゃんぽんが幅を利かせていて、人が集まると「あそこのちゃんぽんが旨か!」「うんにゃ、あそこの方が旨かばい!」とちゃんぽん論議が始まるのです。
そんな「おいの贔屓のちゃんぽんが一番‥‥でもアソコのは別格」と唸らせる店があります。ここは今でこそ県内外に数店の支店を出しているのですが、本店のそれは昔から近隣で美味いと評判でした。
私の住む実家からは遠いので、そうそう頻繁にはいけないのですが、年一ぐらいで行くとやっぱり間違いのない味!と感動に震えたりしますね。
これはまた別で、昔から営業している個人店のちゃんぽん。おばちゃんが大中華鍋を振り、大カロリーガスバーナーの火力を自在に操りちゃんぽんを作り上げている‥‥なんだかその逞しい姿を拝めるだけで、美味しく感じられるような気がします。
佐賀独自の老舗店ちゃんぽん
また、独自に「佐賀ちゃんぽん」として進化した店も存在します。
最近101年の歴史に幕下ろした老舗店では、ちゃんぽんの具材の主キャベツを使ってませんでした。なんでも水っぽさが出てしまうのが理由のようですね。その代わり、もやしにはこだわっていたようで、閉店の理由も取引していたもやし店が閉店し、思うようなもやしが手に入らなくなったからだそう。
これは今でも頑張って営業されている、もう一軒の老舗店のちゃんぽん。先ほどの店じまいした老舗店と共通しているのは、キャベツを使わないだけでなく「あべかわ」と呼ばれる、お節料理の定番「伊達巻」のような卵焼きが入っている事。
先述の正当キャベツ入りちゃんぽんと並ぶ、二大主流のもう一つの佐賀ちゃんぽん‥‥それぞれに味わい深いものがあります。
格安でちゃんぽんを食べる方法
また九州では、家庭でも当たり前のように食されていて、スーパーに行くとちゃんぽんの麺・具・スープが普通に売られています。
しかもそれらを使って作ると、ヘタな店で食べるより美味しかったりします。棚に並んだちゃんぽん材料を見ると、家庭でも美味しくちゃんぽんを食べさせようとする、販売店の意気込みみたいなものを感じたりするのです‥‥さすがはちゃんぽん王国。
ラーメンはスープの美味さ、麺の美味さで決まるごまかしの利かない感がありますが、ちゃんぽんは炒めた野菜や肉や練り物から滲みだす、旨味のハーモニーが味わいが主なので、スープは市販のもの、麺は茹で麺でも専門店に引けを取らない味に仕上がったりします。
手作りのこだわりは二か所
私も機会あらばちゃんぽんを作って食します。値段も店で食べるのより全然お安く、気軽に作り上げる事が出来ますし。僭越ですがお慰みにウチのレシピを記しますね。
まずは「牛脂」フライパンで熱します。本当はラードの方がいいのですが、牛脂は肉売り場では無料で手に入りますから。とにかくやはり植物性油より、動物性油脂の方が絶対風味もコクも出ますね。溶けたところで一口に切った豚バラを投入、中火でバラ肉にじっくり火を通します。
肉に火が入ったら強火にして、キャベツ・玉ねぎ・もやし・練り物(九州でははんぺんやちくわ、さつま揚げを刻んだものがちゃんぽんor皿うどん用として売っている)をガンガン炒め、お湯を注ぎます。
具を鍋の一方に寄せ、空いたところにちゃんぽん麺を投入、スープも投入してグツグツ煮えてきたら麺からどんぶりに移し、そこに覆うよう具とスープを移して完成。所要時間5分ぐらいですかね?
こだわりは野菜を入れたら強火で攻め、しゃっきりと歯ごたえよく炒める事。スープはお湯を入れてから。野菜を炒めている時に入れてしまうと、なぜかスープの色が悪くなるのです。
いわくつき器のちゃんぽんは格別
ここからは他では真似できない味の秘訣が‥‥ちゃんぽんをいわくつき陶器製のどんぶりで食べると、格別美味しく感じるんですが、このどんぶり、先述の101年続いた老舗店のどんぶりなんです。しかも60年以上昔のもの。
昔々、両親がその店の近くに住んでいた頃、出前を取ったものの、とうとう器の回収に来なくて、ウチに残されていたらしい‥‥今となっては、歴史の詰まった大事なこの店の遺品になってしまいました。
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