滑らかに動く引き出しを作ってみました。
目次
・木工に対する心構えは特別
・木工は場数?とても越えられそうにない?
・独自方法で越えられるか?
・逆手順で引き出し作りを進める
・取っ手の内側にサプライズ
・あの滑らかさの再現に感動
木工に対する心構えは特別
滑らかに出し入れできる引き出しは、私にとっての憧れでした。父へ対抗心があったのかもしれません。
プロではありませんでしたが、父はすぐれた大工技術を持っていました。以前にも書きましたが、私が中学生の頃、兄弟同士の仲違いが絶えなかった為に庭に部屋を増築し、それぞれに一人部屋が割り振ってくれました。
ブロックを積み基礎を作り、土台・柱・屋根・窓・壁…とすべて自力で作り上げたのです。私が15歳の頃でして、年齢差は30歳ですから父45歳の頃になります。私が45歳の頃にこれだけのものを作れたかというと、とんでもない!まず木工に対する心構えが違うように思えます。
木工は場数?とても越えられそうにない?
私は物を作る事を生業としていますが、基本粘土を主に製作しています。粘土細工という物は盛って削って、納得いくまで何度でもやり直し出来るものなんですよ。それに比べると木工は一発勝負。
切り過ぎたらその木材は廃棄、基本やり直しがきかないんですね。だから木工加工に対する心構えは、粘土細工のものと全く別次元のような気がしています。
実は私が作る木工工作は結構ごまかしが多いんです。ブログで見る限りではキッチリと加工されているように見える(見えているのでしょうか?)ですが、隙間が生じたり、寸法間違いで継ぎ接ぎだらけだったりしてしまうことが多く、上手くごまかしているのですが、自分の木工技術の無さに嫌気がさすことがあります。
父の仕事は営業職で平日は忙しくしており、休日の時間が出来た時のみ大工仕事をしていました。先述の子供部屋はもとよりの事、私が今仮住まいしている実家にも、父の残した作品が溢れているのです。
それだけでなく、今は亡き父の思い出話をご近所さんから聞かせてもらっていると、我が家だけにとどまらず、色々と作った物を提供したり、たのまれて特注品を作ったりしていたらしいです。
どれだけ木工好きやねん!?それだけ場数を踏んだらそりゃ技術も上がるわな‥‥そんな父の技術を超えるために場数をこなすわけにもいかないので、私独特の方法で木工道を開いていく事にしたわけです。
独自方法で越えられるか?
父は引き出しの付いた家具を好んで作っていたようです。この引き出しを作るというのは、とんでもなく手間と技術が必要なわけですよ、私も以前作りました。
これは旧宅の下駄箱ですが…上手くいったとは言えません。見かけは何とか体裁を保っているのですが、出し入れで引っかかる、滑らかには動かせないのですね。
旧宅台所に収納棚を作った折、とりあえずプラケースなどで急場をしのいでいたのですが、やっぱり引き出しの方が見栄えがいいという事になりました。さて作ろうかと決心した矢先「下駄箱の引き出しみたいな引っ掛かるのは嫌だよ」と妻から一言、出鼻をくじかれてしまいました(笑)
ならばスライドレールを使って滑らかな引出しを作り、目にもの見せてやろうとしたのです。父は自分の引き出し製作技術に自信があってか、スライドレールを使った引き出しにはあまり手を付けていなかったようなので、これでなら父の技術をちょっとでも超えられるか?…と脳裏をよぎりましたね。
逆手順で引き出し作りを進める
収納棚は合板の組み合わせです。幅は食器棚と壁に合わせて、窓の位置までに高さを合わせてあります、何度も申し上げますが、こうして空きスペースピッタリに収まる家具が出来るのは、DIY工作の醍醐味ですよね。
すでに存在する棚スペースに合わせて、引き出しを組み込みます。最初にスライドレールを棚スペースに取付け、
そこから逆算した寸法から割り出し、引き出しを作りました。そして最後に前板を取り付けるという普通とは逆の手順、この発想は父も思いつかなかったのではないかと‥‥
前板の取付時、前面からネジを打ち込んで本体に取り付けるとラクなのですが、前板にネジ頭見えてしまうと美観を損ねます。そこで角に二等辺三角形上の工作材を貼りつけ、接着面積を広げ、木工用ボンドのみにて前板を貼りつけています。
取っ手の内側にサプライズ
取っ手にはちょっと悩みました。困った時のIKEA頼みと行きたいところ…しかし今回ばかりはなかなか気に入ったものが見つかりません。
木製の味わいにこだわりたかったのですが皆無、もしくは相性のよさそうなアンティーク調の金属取っ手を探しましたが高価。そこで工作材を組み合わせて作ってみる事にしました。この取っ手が出来るまでは、紐を画鋲で前板に取り付け、それを引っ張って開いていたっけ‥‥
使用したのは平板形状の角材と、半円柱上の工作材。これを木工用ボンドで貼り付け、洗濯ばさみで挟み圧着させます。
完全接着した後で、サンドペーパーで表面処理、継ぎ目も目立たず仕上がりました。
半円柱工作材の円の方面を、目立たない内側に取り付けてます。取っ手って、触れる人に安心感を与えるのが最良だと思うんですよ。取っ手をつかんだ時に内側が丸いと快適でしょ?というサプライズ的な考えがあったのかもしれません。もう十数年前の事で忘れましたけど‥‥
外側も角を丸めてストレスレスを心掛け、外側の角も徹底的に磨いて落しています。
全体的に柔らかな形状の仕上がり気に入っています、これを引き出し前板裏からネジで固定して完了。
あの滑らかさの再現に感動
スライドレール独特の滑らかさと安心感を感じられる引き出しになりました、これはあの市販品独特の感触と動き‥‥まさか自分が、ここまで再現できるとは思っていなかったので、完成した時には感慨ひとしお。
何故父がこのスライドレールを使った引き出しに手を染めなかったのか、不思議でさえあります。よほど自分の技術に自信があって、スライドレールなど邪道と思っていたのでしょうか?一寸頑なところがありましたから。もったいないですね。
さて、このスライドレール勢いあまって買い過ぎ、あと4組分残ってるんですよ。これらを使ってどこかに引き出しを作ってやりたい‥‥本宅へ帰る時までの課題です。
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