2.5次元立体作品を考案してみた

2.5次元立体作品というものを模索しています。

目次

シャドーボックスの評価に異議あり

カッパーフィールドはテレビに軍配が…

レリーフの2次元的立体表現手段も取り入れたい

45度で「2.5次元」

歪みもエンタテイメントの一部?

シャドーボックスの評価に異議あり


前回に引き続き仕事の造形物に関する記事です。

海外のミニタリーモデラーにしてジオラマ作家の「シェパード・ペイン」という方がいて、その作品の手法に「シャドーボックス」というものがあります。

私も情景の究極だと思います

箱の中にジオラマを作りあげ、額縁を模した窓からその箱の中のジオラマ世界を覗き見るといった趣向の物でした。私は見る方向を限ることで造形物の可能性が広がると関心したのですが、のちにネットでその手法にケチをつける方のコメントを読んだことがあります。

「立体作品は全方面から見れるのに意義があるのであって、シャドーボックスなどという一方向からしか見ることが出来ないなんて立体の意味が無い、シェパード・ペイン頭悪いね」と言ったものでしたが、私はその意見に憤りを感じました。立体作品は本当に全方向から見せなければいけないのだろうか?その考えが立体の可能性を狭めているんだと思う、と。

立体作品(3次元)の意義はその情報量にあると思うんです。同じ対象物を表現しても、イラストや写真といった2次元には表現しきれない、立体物に込められる膨大な情報量こそが魅力だと思うのですね。

カッパーフィールドはテレビに軍配が…


立体作品はいわば「舞台」だと思うんですよ。見たまんま、あるいは空間に存在するものをそのまま切り取ったもの。

David Copperfield Bullett Magazine Shoot

画像引用:ウィキペディア

昔「デビット・カッパーフィールド」という世界的なイリュージョニストのショーを観に行ったことがありました。人体切断や空中浮遊といった驚異のマジックの数々を目の当りにしたのですがどうもしっくりこない。それまでさんざんテレビでのプロモーション映像を見慣れていたからなのですね。

プロモーション映像ではアップやカット割り、ズームやパンなど駆使し舞台よりもドラマチックな演出が盛り込まれています。例えば画面奥から空中浮遊してきて画面アップになりウィンクをして飛び去るデビットが、舞台では舞台左端から右端に飛んでいくだけ、ウィンクすら見えない状況です(笑)

決して舞台をけなしているわけではありません、舞台は舞台なりの良さがあると思っています。しかし映像派の私としては後者の方に魅力を感じるのです。

立体作品とはこの舞台で観る方のデビット・カッパーフィールドであって、テレビや映像媒体で見るような外連味のある演出を盛り込んだ立体造形物は出来ないだろうか?というのを模索し続けてきました。

舞台や普通の立体作品って見たままを受け取って下さいって「受け身」の姿勢だと思うんですよ。対して、映像や重要なものを大きく作ったりとディフォルメを加えた立体作品は「攻め」の作品だと思うんですね、「攻め=作者の想い入れ」を込められる作品が表現出来たらいいなと思っていたのです。

レリーフの2次元的立体表現手段を取り入れたい


情報量では2次元に勝る3次元立体作品にも限界があります、それは奥行きというか世界観が表現しづらい事。2次元だと果てしない空間を作品中に収めることが出来ます。しかし3次元立体作品(ここでは主にジオラマを指します)の場面の一部を切り取ることしかできない。

世界観を盛り込める造形にレリーフといった手段があります。

これは昔仕事で作った拙作ですが、いわゆるレリーフ的作品でして、この撮影スタジオ風景を同じスケールでジオラマにて表現しようとしたら奥行き40センチは欲しいところでしょう。それを奥行き4センチの中に収めました。

これを「2次元的立体作品」と呼称することにします。これをもう少し3次元に寄せた立体が出来たら…それが「2.5次元立体作品」発想の発端というわけですね。

45度で「2.5次元」


具体的にその手法を説明しますと、左がいわゆる普通の立体作品「3次元」です、右が「2次元(2次元的立体)」です、斜め赤線でしめされた方向は2.5次元と解釈されるはず。

これを台座目線で説明するとわかりやすくなるかと思います。左が2次元的立体作品です、壁に掛けて配置するのが前提だから台座は立っています。左は床置きだから台座は寝ています、これら2つの間、直角のちょうど中間、赤矢印の位置で台座を固定させ、そこで作品を表現すると「2.5次元立体作品」と言えるのでは?というわけ。

「歯垢ではない?プラークを作った」参照

地面から45度に立ち上がった土台を作りました。ただ、ここに雛段を作って作品を配しただけだと普通の立体作品と変わらないわけで、自分なりにルールを設定、それに沿って構築させています。

歪みもエンタテイメントの一部?


奥行きを表現するため「強制遠近法」という手法を取り入れています。これは遠方になるほど小さく見えるという摂理を、遠方に位置させるものを小さく作ることによって強制的に空間の奥行きを表現する方法です。

横から見た2.5次元作品とその台座の関係、前面と後方では極端なディフォルメがなされています。これによって前後が圧縮され奥行きを限られた空間に収めることが出来ます。

こちらは上から見た2.5次元作品とその台座の関係、このようなディフォルメを与えることでよりパノラミックな展開が出来るはずです。

これは先述のシェパード・ペイン氏によるシャドーボックスのように、覗き窓から見せるといったような限定した方向からの見せ方はしてません。囲いもないのでどこからでも見ることが出来ます、そうなると角度によっては歪みが露わになってしまうのですね。

しかし私はそういう見せ方もアリだと思っています。見る人がベストだと思う方向を見つけ、その位置で楽しんでくださるのもエンタテイメント性があっていいじゃないですか?

さてこの作品来年早々に発表する予定です。その時にどんな評価を頂くことになるのか‥‥

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耐震補強工事においても詳しいです

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